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年金制度のしくみ

企業年金制度

1.年金制度の体系

日本の年金制度は、全国民に共通した「基礎年金」を基礎に、「被用者年金」、「企業年金」の3階建ての体系となっています。
3階部分
【企業年金】
厚生年金基金
企業が従業員と給付の内容を約束し、高齢期において従業員がその内容に基づいた給付を受けることができる確定給付型の企業年金制度の一つ。企業や業界団体等が厚生労働大臣の認可を受けて設立する法人である厚生年金基金が、年金資産を管理・運用して年金給付を行う。国の年金給付のうち老齢厚生年金の一部を代行するとともに、厚生年金基金独自の上乗せ(プラスアルファ)を行うもの。
確定給付企業年金
企業が従業員と給付の内容を約束し、高齢期において従業員がその内容に基づいた給付を受けることができる確定給付型の企業年金制度であり、企業等が厚生労働大臣の認可を受けて法人(企業年金基金)を設立する「基金型」と、労使合意の年金規約を企業等が作成し、厚生労働大臣の承認を受けて実施する「規約型」がある。基金型は企業年金基金、規約型は企業等が、年金資産を管理・運用して年金給付を行う。
確定拠出年金
企業等・個人が拠出した掛金は個人ごとに明確に区分され、掛金と個人の運用指図による運用収益との合計額が給付額となる企業年金制度であり、従業員のために企業等が規約を作成し、厚生労働大臣の承認を受けて実施する「企業型」がある。この他に、会社員に限らず、自営業者や専業主婦等でも加入できる「個人型」(国民年金基金連合会が実施)がある(平成29年1月より改正)。
2階部分
【被用者年金】
厚生年金保険
民間企業で働く従業員、公務員および私立学校の教職員で70歳未満の者が対象であり、基礎年金の上乗せとして報酬比例年金を支給する。
1階部分
【基礎年金】
国民年金
日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の者全員が対象。被保険者の種類によって第1号被保険者、第2号被保険者、第3号被保険者の3種類に区別される。

2.企業年金制度の経緯

わが国における退職給付制度の源流は、江戸時代の商家で使用人の独立時などに行われた「のれん分け」にあるといわれている。明治期以降、熟練労働者の足止め策の一つとして定年退職時に一時金を支給する退職一時金制度が普及・慣行化していった。しかし、戦後の高度経済成長に伴い退職者数・退職金額が急速に増加したことにより、退職金の支払負担を平準化することが企業経営上の課題として注目されるようになった。このような状況を背景に、昭和37年に法人税法および所得税法に基づく適格退職年金制度が、昭和40年に厚生年金保険法に基づく厚生年金基金制度が創設された。
これらの制度が中心となり、従業員の老後の所得保障に大きな役割を果たしてきたが、少子高齢化の進展および経済運用環境の低迷等、わが国の企業年金を取り巻く情勢が大きく変動し、適格退職年金については、受給権保護等の仕組みの確立した安定かつ信頼のある制度に整備することが急務となった。また、中小零細企業への制度の普及、産業構造および雇用形態の流動化等にも対応を迫られていた。
そこで、確定給付企業年金法および確定拠出年金法の2法が平成13年にそれぞれ制定され、企業年金制度の選択肢を広げる一方で、適格退職年金制度は平成24年3月末で廃止されることになった。また、厚生年金基金制度においては、代行部分が母体企業の決算上の負債に計上されるようになったこともあり、平成14年4月の確定給付企業年金制度の創設時にあわせて代行部分の返上が認められたことによって、単独型・連合型の厚生年金基金の多くが確定給付企業年金へ移行した。こうしたなかで、平成16年法改正によって厚生年金基金の財政運営の抜本改正が行われ、代行部分に係る財政の中立化が実施された。
その後、経済運用環境が再び低迷するなかで、AIJ投資顧問による多額の年金資産消失事件を機に、厚生年金基金の代行割れ(保有資産が最低責任準備金に満たない状況)が社会問題となり、平成25年法改正によって、厚生年金基金は新設が認められなくなり、健全な基金を除いて解散または他の企業年金制度等への移行を促されることとなった。
 
岡山県病院企業年金基金
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